目次
ブッダの教えの根幹には、縁起、と四諦(したい)という2つの考え方があります。
縁起は世の中のシステムを説明したもので、その世の中のシステムの中で、いかに生きるか、というマニュアルが四諦です。
縁起で成り立っている世の中を乗り切るための実践法が四諦というわけです。
ですから、この四諦こそ、ブッダの教えそのもの。
この四諦さえ理解し、実践できれば、あなたも悟れます。
したがって、今すぐにでも四諦を理解し、四諦を実践することが大事です。
その四諦において、具体的に悟るためのトレーニング法が示されております。
そのトレーニング法こそ「八正道」とブッダが名付けた実践法です。
その八正道について、今回は記述していきたいと思います。
それではその前に、まずは縁起を理解したい!という方はこちらをご覧下さい。
そして、八正道の前に四諦とは何なの? という方はこの項をご覧下さい。
まずは四諦をおさらい
では、八正道の話に入る前に、上のリンクからでもご覧いただけますが、四諦について簡単に説明させていただきます。
四諦とは悟りに至るまでの4つのプロセスをさします。
それはすなわち「苦」→「集」→「滅」→「道」の流れです。
- 苦・・・世の中とは「苦」しみであるということ。
- 集・・・苦しみを「集」めてくるのは自我の仕業だということ。
- 滅・・・では、苦しみを集めてくる自我を消「滅」させれば、苦は存在しない。
- 道・・・滅を実践させるために「道」=修行を行いましょう。
これが四諦です。
これが悟りの極意なのです。たったこれだけが極意なのです。
これをするだけで悟れるのです。
シンプルすぎて逆に難しいのが悟り
「あまりにもシンプルですね。たったこれだけのプロセスで、本当に悟れるのですか?」
はい、悟れます。
「怒らないこと」の著書で知られるスリランカの僧侶、アルボムッレ・スマナサーラ長老に言わせれば、もっと簡単です。
この動画の5分30秒ごろをご覧下さい。
「思考をやめるのは物凄い難しい」
「左脳が、何兆もの細胞が思考させるために構えているのだから大変です」
「しかし、ちゃんと頑張る(思考を止める)とだいたい2週間で成功します」
「思考を止めてみたら悟れます」
「たったそれだけです」
このようにおっしゃっています。
まあ、真理がシンプルだからといって、実践まで簡単とはいきません。
思考を止めること。
それが悟りを開くということですが、その道のりはなかなかのものでしょう。
ブッダは悟りを開くためのトレーニング法を作ってくれています
しかし、そこはブッダ。
当時ではかなり長生きであろう80歳まで生きられ、35歳で悟っていますから45年間も悟りを教えてきただけあって、ちゃんと悟りへの実践法を用意してくれています。
しかしブッダは実は、悟りを開いた直後に「悟りを伝道するのは無理」と、いきなりさじを投げてしまったことでも有名です。
それを神様にたしなめられて、ようやく重い腰をあげるというなかなか雑なお方という余談があります。
さてブッダは、この思考を止める取り組み、つまり四諦でいうところの「道」を実践するために、実はマニュアルを作ってくれています。
それが最初に述べました「八正道」というトレーニング法です。
そうこのトレーニング法こそ、ブッダが残してくれた、悟りへの「道」しるべなのです。
では実際に取り組んでみましょう!
八正道の意味を理解していきましょう
「八正道」は悟りを開くための基本的な実践を示しています。
ブッダは「悟るためには8つの正しい行動を取りましょう」と主張しており、それが八正道なのです。
八正道は次の8つの取り組みで構成されています。平易な表現で書きます。
- 正見(しょうけん):正しく見ましょう
- 正思惟(しょうしゆい):正しい思いをもちましょう
- 正語(しょうご):正しい言葉を使いましょう
- 正業(しょうごう):正しい行いをしましょう
- 正命(しょうみょう):正しい仕事につきましょう
- 正精進(しょうしょうじん):正しく精進しましょう
- 正念(しょうねん):正しい気づきを行いましょう
- 正定(しょうじょう):正しく意識を定めましょう
この8つの中でも最も大事なのがはじめの「正見」にあたります。
正見とは簡単に言いますと、自我から離れた目で、世界を見るということです。
つまり、世の中というものが「無常」であり、「縁起」によって成り立っているものだと知り、その世の中を生きていく智慧が「四諦」だということを頭に叩き込んで生きる、ということです。
縁起について詳しくはこちら。
万物は固定ではなく、つねに変化するもの=無常です。
その無常の世の中に、逆らおうとするときに「苦」が発生するのです。
そして四諦の項で申しましたように、苦というものは自我が発生させています。自我が苦を集めて来ない限り、苦は発生しようがありません。
苦を発生させるために、苦を集めてくる自我の動きを見極め、それを滅することが四諦の極意であり、悟りを開くための方法です。
この滅を行うために、自我から離れた意識から物事みて、そして自我が少しでもよからぬ働きをしないよう、その動きに対して目を光らせておくこと、これこそが先に述べた正見です。
つまり八正道における基本的なスタンスを説明しているのが正見ということです。
そしてこの正見をしっかりと行うための取り組みが残りの7つの正道にあたります。
では、それらの7つを見ていきましょう。
【正思惟:正しい思いをもちましょう】
正思惟は「無害心」、「無瞋恚」、「無貪欲」の3つからなります。
- 無害心:敵意を抱かず、慈しみの心を持ちましょう。
- 無瞋恚:むやみに怒るのはやめましょう。
- 無貪欲:無限にお金が欲しい、無限に愛人が欲しいというような、際限のない欲望を持つことをやめましょう。
【正語:正しい言葉を使いましょう】
嘘をついたり、悪態をつくのは、煩悩の仕業ですのでやめましょう。
【正業:正しい行いをしましょう】
むやみに生き物を殺したり、泥棒をしたり、不倫をしてしまうのは、煩悩の仕業ですのでやめましょう。
【正命:正しい仕事につきましょう】
人を騙して儲けたり、世間に迷惑をかけてでも儲けたりするのは、煩悩の仕業ですので、やめましょう。
【正精進:正しく精進しましょう】
悪いことをしようとしたり、善い行いを怠けようとするのは、煩悩の仕業ですので、やめましょう。
【正念:正しい気づきを行いましょう】
【正定:正しく意識を定めましょう】
この2つは、瞑想の実践について語っています。
四諦の項でも書きましたが、ブッダの悟りの方法は、自我(煩悩)の暴走である「集」を行ってしまっていることに気づき、それを「滅」することにあるとしています。
これは四諦を理解し、そして「集」を行わないための具体的な行動である「止観瞑想」の実践をしましょうということです。
止観瞑想については次のとおりです。
上記に詳しいですが、止観瞑想について簡単に説明しますと、要は四諦がどのようにして自分の中で発生しているのかを見るということです。
「苦」がどのように自分の中に存在し、そして「集」されているのかを観察し、いかにして「滅」するか、ということです。
そしてその具体的な実践方法を「止観」と言います。
止観は、「苦」を発生させる「集」、つまり自我(煩悩、思考)が働くことを止めるための取り組みです。
意識的に止観を行わなければ、すぐに自我(煩悩)が暴走を始めます。ですから、止観に意識を向けることが重要だとしています。
正念が主に「観」のことであり、自我の動きに気づくということ、正定が「止」について述べています。「止」は思考を止めるということですが、そのことに対する集中力を持って取り組むことが正定の考え方です。
まとめ
いかがでしたか。
今回は実践的な内容ではありましたが、少々堅苦しくて難しかったのではないでしょうか。
この辺りの理屈は、ぶっちゃけ悟ることと関係はありません。しかし、我々の自我というものはどうしても「理屈」が欲しくなってしまうものです。
このような「理屈」を学ぶことで自我を納得させることができれば、実践も進めやすいです。
ですから、いつも自我の妨害にあい「瞑想なんか何の役に立つんだ」「そんなことよりもっと楽しいことをしよう」と自我が騒いで悟りの学びに集中できない時、こういった考えを理解することで、自我を鎮め、実践を進めていくと良いのではないでしょうか。
▼この本で八正道で学べます。